ライティング

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商品撮影の命ともいえるライティング。
プロのライティングをご紹介いたします。

商品写真どっとコム、フォトグラファーの表(おもて)です。
商品写真に限らず、様々な「物撮り」にとって、最大の課題はライティングと言えます。
ライティング、つまりどんな照明をするかで写真の印象は大きく変わります。
その写真を見る人が、商品に対してどんな印象を感じるか?

安心感、信頼感、高級感、清潔感など、どれもがライティングによってもたらされると言っても過言ではありません。
ですから商品の売り上げを左右する商品写真には、きれいなライティングでの撮影が望まれます。
そこでここでは、プロの商品撮影ライティングの現場をご紹介いたします。

機材などはプロ仕様の物が多いですが、ライティングの違いによりどんな写真になるかをご覧ください。
また、もしもご自分で商品撮影をする機会がございましたら、その時のライティングのヒントになれば幸いです。
今回はサンプルとして化粧品のボトルを被写体にいたしました。

目次

1,商品撮影の撮影機材をご紹介

まずは、今回使用します商品撮影用の機材をご紹介いたします。

今回使用します商品撮影用の機材をご紹介いたします

今回使用します商品撮影用の機材をご紹介いたします

今回使用します商品撮影用の機材をご紹介いたします

カメラは、一眼レフのデジカメです。レンズは200ミリのマクロを使用しました。焦点距離の長い望遠系のレンズを使用するのは、商品との距離を長く取ることができるためカメラアングルやライティングの微調整が可能になり撮影しやすくなるためです。また遠い距離からの撮影は被写体のフォルムが歪まずきれいに商品撮影できるためです。

カメラスタンドは、ベースにドリーが付いておりポールが伸縮する物を使用しております。三脚よりもスペースを取らないため、カメラ位置が自由に決められます。

ライティング用の照明はストロボを使用しております。少々高価な照明ですが光の質がきれいでプロにとっては一般的な機材です。瞬間的に発光するフラッシュですので肉眼ではどんな光が商品に当たっているかを確認できないため。ライティング調整用のハロゲンランプが付いております。光量が調節できますので好みの絞り値を使用できます。

小物の撮影台は、厚い半透明(乳白)のアクリル板を曲げた作りで半透明ですので光が透過するようになっております。今回は、この撮影台の上に光沢のアクリル板を設置して撮影いたしました。

2,カメラの内蔵ストロボで撮影

さっそく撮影に入ります。
まずは、カメラに付属している内蔵のストロボを発光させて撮ってみました

カメラに付属している内蔵のストロボを発光させて撮ってみました

カメラに付属している内蔵のストロボを発光させて撮ってみました

このような撮影では、白い背景は白くならずグレーになります。
フラッシュが正面から当たりますので、ガラスに強い光、右後ろには商品の影が映ります。
全体的に暗いイメージで、色合いも汚い印象です。

何もライティング用の機材が無い場合は、このような撮影になってしまします。
一目見て、これでは商品の魅力を伝えることができません。
まずは、ライティングの必要性をご理解いただけたと思います。

3,照明を1灯、ダイレクトに当ててみる

それではライティングの始まりです。
最初は、最もシンプルに1つの照明を左斜め上から商品に対してダイレクトに当ててみました。

1つの照明を左斜め上から商品に対してダイレクトに当ててみました

1つの照明を左斜め上から商品に対してダイレクトに当ててみました

先ほどの撮影に比べますとずいぶんハッキリした印象になりました。
しかしながら、まだ以下のような点の改善が望まれます。

A:ライティングの光の質が固いためキャップ部分が白く飛んでしまい、ディティールが無くなってしまっている。
B:相変わらず背景がグレーで清潔感にかける。
C:ボトルのブルーに透明感が無い。
D:キャップの透明な部分もグレーになってしまっている。

4,ディフューザーで光を柔らかくする

次に、上記のA:ライティングの光の質が固いためキャップ部分が白く飛んでしまい、ディティールが無くなってしまっている。を改善するため、商品とライトの間にディフューザーを入れて光の質を柔らかくしました。また、逆サイドにもディフューザーを下げて光の回り込みをよくしました。

ディフューザーを入れて光の質を柔らかくしました

ディフューザーを入れて光の質を柔らかくしました

ディフューザー(光を拡散する薄い幕)は、光を透過する白マットのポリエステルのフィルムです。「アートレ」などの商品名で売られています。弊社ではロールに巻かれている物を天井から吊り下げており必要に応じ伸ばして使用しております。照明とディフューザーを近づけると硬い光になり、遠ざけると柔らかい光になります。

ディフューザーの役割は、このように光の質を調節する他にまわりの物を商品に写り込まないように遮る役目や光をはね返すレフの効果もあり、プロのライティングには不可欠な物です。

この幕を設置するにはスタンドや天井に吊るなどの手間がかかるため、代わりに簡易的に使用されるのがパラソルです。ただしパラソルはライティングの細かい微調整ができないためプロの商品撮影ではあまり使用いたしません。

5,背景からの透過光を使う

次に、B:相変わらず背景がグレーで清潔感にかける。C:ボトルのブルーに透明感が無い。D:キャップの透明な部分もグレーになってしまっている。といった点を改善するために背景のアクリル板の後ろ側から照明を入れます。透過光のライティングとなります。

透過光のライティング

透過光のライティング

透過光のライティング

ご覧の通り、見違えるようにきれいになりました。背景は透過光の照明により白く飛びました。また、ボトル部分のブルーのガラスは透明感がでて、キャップも透明になりました。このように逆光、半逆光のライティングを使用すると商品が輝きを増し、透明感、清潔感を感じられる商品撮影ができます。

しかしこのライティングによる弊害もあります。それは以下の問題点です。
E:強い背景からの透過光照明により、ボトルの輪郭がボヤッとにじんでしまった。

6,「黒締め」をする

上の、E:強い背景からの透過光照明により、ボトルの輪郭がボヤッとにじんでしまった。を解消するために商品の左右にグレーの紙を入れて輪郭のにじみを除去しました。この方法を「黒締め」といいます。

「黒締め」をする

「黒締め」をする

ご覧の通り、輪郭のモヤッとしたにじみを消すことができました。
しかし、写真には左右に紙が写り込んでいますのでこのままでは使用できません。

そのため、左右の紙を切り取ります。通常はキリヌキ処理を行いボトルだけにいたしますが、今回は床面に写っているボトルの鏡面反射も生かすため、左右の黒締めの部分だけ白で塗りつぶしました。

7,黒締めを無くし、最終の仕上げをする

さらに、色調、彩度、コントラストなどを調整し、最終の商品写真が完成いたしました。これで商品撮影は終了です。

色調、彩度、コントラストなどを調整し、最終の商品写真が完成

8,まとめ

いかがでしょうか。
今回は、商品撮影のライティングをご紹介いたしましたが、ポイントをまとめますと、

  • ディフューザーを使用し光の質をコントロールする
  • 透過光を使用する
  • 「黒締め」をする

といったことが重要になります。
今回のように大がかりなライティング機材を設備するのはなかなか難しいと思いますが、機材が変わってもライティングの考え方は同じです。
ご不明な点やご質問などがございましたらご遠慮なくご連絡ください。
これからも商品写真どっとコムをよろしくお願い申し上げます。

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